Sunday, May 19, 2013

「為患者服務」

舞鶴公園の朝の遠望1961夏
「為患者服務」
 私は、終戦後中共に抑留され八年間中共軍と満州の山野を転々と歩いたが、その時感じた事は医療には敗者もなければ勝者もなく、また政治、形態の変化がどうあろうとも、また民族を異にしようとも、医師の対象は病める人間である事に変わりはない。
たとえそれが資本主義社会であっても、共産主義社会であっても、この道だけは共通のものであるという事だった。
明日の運命も分からない。
いつ祖国の土を踏めるのかも分からない放浪の生活の中で、日々生きがいを感じつつ長い八年を過ごしえたのは医師という聖業を持ち、それに没入出来たからだったと思う。
中共の医療従事者の基本原則は「為患者服務」であった。
毎日のように続くいわゆる洗脳運動も医師であろうが雑役であろうが、その行動の一つ一つが患者のためになされているかどうかの一点に集中、点検批判された。

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