菩提和讃
若人三世一切の
法界性を観ず應し 普く衆生を観ずるに
一念不生に至る時 男女上下の隔てなく
偶々一念迷い初め 佛を了知んと欲しなば
一切唯心造なりと 各々佛生具しぬれば
忽ち佛性現前し 其の儘即ち佛なり
自凡夫となるゆえに 三毒五慾の情起り
悪口兩舌綺語妄語 貪り惜て嫉み妬み
悪業罪を造りては 千生萬劫沈淪し
法界性を観ず應し 普く衆生を観ずるに
一念不生に至る時 男女上下の隔てなく
偶々一念迷い初め 佛を了知んと欲しなば
一切唯心造なりと 各々佛生具しぬれば
忽ち佛性現前し 其の儘即ち佛なり
自凡夫となるゆえに 三毒五慾の情起り
悪口兩舌綺語妄語 貪り惜て嫉み妬み
悪業罪を造りては 千生萬劫沈淪し
夫人間の身を受て 殺生偸盗邪婬慾
瞋り恚ち愚痴我慢 噌愛執着誉め謗り
地獄や傍生餓鬼となり 受る苦患ぞ怖しき
此世に生れ来る事は 爪の上端に置ける土
苦患に沈む輩は 況て尊き佛法の
百千劫にも遇がたし 必出離を求むべし
春は萬の種を蒔き 三悪道に堕入りて
大地の土のごとくなり 教に親しく遇事は
斯る時節を失はず 人々賢き智慧あらば
秋の實登を待のみか 衣服家宅に至るまで
今をも知れぬ後の世の 空しく過るぞ愚なり
無常の風に誘はれて 耳も聴えず目も見えず
聚り來つて責るゆえ 遠き覚悟のありながら
永き冥路を打忘れ 老若貴賤も諸共に
忽ち此世を終る時 一生作し置く罪過が
臨命終の苦しみは 百千萬の鋒に
其時何をか頼むべき 冥土の用には成ぬもの
携へ行べき道ならず 伴ひ行事更になし
少時浮世の夢にして 突き悩さるるごとくなり
田畑数多有るとても 金銀財宝持つ人も
妻子眷属有しとて 偕老比翼の契ひも
出入の息の絶えぬれば 野辺の送りを営みて
空の煙と消え失て 蓬が根の塵となる
壁も柱も戸障子も 始て何れも後悔し
後生菩提も願うべし 老も若も仇野の
朝夕撫し黒髪も 造悪人の最後には
獄卒の姿と見えければ 斯る憂目の有ならば
悪き心も持まじに 我身に悪行するのみか
倶に作し罪過の 己を作る地獄ゆえ
此悲しさを誰に告 思い遣るべし其時の
因果の道理を弁えて 人に膽性を傷めさせ
我身一つに報い来て 免れ遁るる方ぞなき
又誰をかを恨むべき 苦言の程は幾ばかり
悪しき心を矯直し 一声唱える稱名も
無始劫來の罪障も 尋常佛に近づきて
香花燈燭採りささげ 身口意三業清浄に
坐禅観法修しぬれば 諸佛の浄土に通徹し
一時に消失果ぬれば 禮拜恭敬を慇懃に
粥飯茶菓等供えつつ 稱名念仏經陀羅庀
浄土は従來我身にて 心が即ち佛なり
生々世世の父母や 其恩愛の深き事
然るに六趣に輪廻して 其有様を察するに
皆々悲願を企てて 熟々衆生を観ずるに
六親眷属師長まで 各々現世に異ならず
種々の苦患に浮沈む 身の毛も寒竪ばかり也
無明の眠を覺しつつ 行住坐臥に怠らず
六衢の衆生を愍念し 本有の衆徳を発露して
般若の船に竿さして 一心勇猛に修業して
菩提の道に趣かせ 不報の恩を報ぜんと
涅槃の岸に至るべし
瞋り恚ち愚痴我慢 噌愛執着誉め謗り
地獄や傍生餓鬼となり 受る苦患ぞ怖しき
此世に生れ来る事は 爪の上端に置ける土
苦患に沈む輩は 況て尊き佛法の
百千劫にも遇がたし 必出離を求むべし
春は萬の種を蒔き 三悪道に堕入りて
大地の土のごとくなり 教に親しく遇事は
斯る時節を失はず 人々賢き智慧あらば
秋の實登を待のみか 衣服家宅に至るまで
今をも知れぬ後の世の 空しく過るぞ愚なり
無常の風に誘はれて 耳も聴えず目も見えず
聚り來つて責るゆえ 遠き覚悟のありながら
永き冥路を打忘れ 老若貴賤も諸共に
忽ち此世を終る時 一生作し置く罪過が
臨命終の苦しみは 百千萬の鋒に
其時何をか頼むべき 冥土の用には成ぬもの
携へ行べき道ならず 伴ひ行事更になし
少時浮世の夢にして 突き悩さるるごとくなり
田畑数多有るとても 金銀財宝持つ人も
妻子眷属有しとて 偕老比翼の契ひも
出入の息の絶えぬれば 野辺の送りを営みて
空の煙と消え失て 蓬が根の塵となる
壁も柱も戸障子も 始て何れも後悔し
後生菩提も願うべし 老も若も仇野の
朝夕撫し黒髪も 造悪人の最後には
獄卒の姿と見えければ 斯る憂目の有ならば
悪き心も持まじに 我身に悪行するのみか
倶に作し罪過の 己を作る地獄ゆえ
此悲しさを誰に告 思い遣るべし其時の
因果の道理を弁えて 人に膽性を傷めさせ
我身一つに報い来て 免れ遁るる方ぞなき
又誰をかを恨むべき 苦言の程は幾ばかり
悪しき心を矯直し 一声唱える稱名も
無始劫來の罪障も 尋常佛に近づきて
香花燈燭採りささげ 身口意三業清浄に
坐禅観法修しぬれば 諸佛の浄土に通徹し
一時に消失果ぬれば 禮拜恭敬を慇懃に
粥飯茶菓等供えつつ 稱名念仏經陀羅庀
浄土は従來我身にて 心が即ち佛なり
生々世世の父母や 其恩愛の深き事
然るに六趣に輪廻して 其有様を察するに
皆々悲願を企てて 熟々衆生を観ずるに
六親眷属師長まで 各々現世に異ならず
種々の苦患に浮沈む 身の毛も寒竪ばかり也
無明の眠を覺しつつ 行住坐臥に怠らず
六衢の衆生を愍念し 本有の衆徳を発露して
般若の船に竿さして 一心勇猛に修業して
菩提の道に趣かせ 不報の恩を報ぜんと
涅槃の岸に至るべし